KOZOU gallery

静岡のモノづくりの町、田町の一角にある指物職人の工房二階をギャラリーに改修しました。
以前も家具工房であったこの建物は築年数が長く、劣化しているものの既存の空間性が魅力的だった為、積極的に背景として
捉え、そこに新たにギャラリーとしての機能を重ねることにしました。
白い壁をつくったり、既存の壁や床を塗りつぶしてギャラリーとしての背景をつくることはポイントでは効果がありますが、今回は少し影響が強すぎることと
既存の状態を否定しかねないので避け、既存の空気感を逃がさぬように注意しながら「透ける」というキーワードで少しづづ改修していきました。

まず展示什器ですが既存の背景と切り離すことと広い空間を使いこなす為に島状の物を点在させることを考えました。
床を積層するようにパレット状の板を重ねることで、様々な大きさの商品展示に対応しながら
ワークショップなどの作業時には床としても機能する什器を考えました。
素材はラワン合板を使用し、一番上のパレットはスチールFBの無垢とガラス・床の間に使われる龍髭畳を組み合わせています。
この什器はパレットの特徴でもある一方の方向には抜けている為、向こう側の景色や光が透過し独自の軽さと繊細さがあります。

床は既存の痕跡を塗りつぶさずに新しさを出すためにクリアの全艶で塗装し風景や光を映り込ませました。
また空気を閉じ込め室内化させる意図で出入口にガラスのパーテーションを設置し、向こう側が透けるカーテンは大きな空間を緩やかに仕切り、
微妙になびくことで空気の動きに気付かせてくれます。

田町という職人の町の工房の二階に取り残されていた空気感を逃がさないように
一手一手確認しながら丁寧に改修をしました。

_建築概要

  • 所在地: 静岡県静岡市葵区田町
  • 主要用途: 工房/ギャラリー
  • 構造規模: 鉄骨2階
  • 敷地面積: -
  • 延床面積: -
  • 竣工: 2019年1月
  • 施工: KOZOU HAKO STYLE
  • 写真: RACHISHINYA