HOUSE OF KANDO

神戸の住宅

建築をつくる際、その場に元々ある環境や社会を含めた自然に対して心地良い距離感をつくることを意識している。
今回はその距離感を「高テラス」という空間を通して考えた。

この住宅はGLからおよそ1M上がった高テラス空間が居住空間をグルっと囲む構成になっている。
一般的に縁側や土間は庭や外部を近づける中間領域として扱われ、内部と外部を繋ぐものとして設計されることが多い。

しかし今回は外と内をあえて分断し、距離を置くことで自然を取り込みたいと考えた。
この建築において最適な自然との距離を考えたとき、庭の緑だけではなく、敷地外の小川や桜並木、水田といった遠くの風景と徐々に繋がっていくような関わり方が良いと思った。

また、施主は共働きで日々忙しい。その生活スタイルを考えたとき、日常的に土や緑と触れ合う空間よりも、生活の中のふとした瞬間に自然を感じるような、自然と適度な距離感を保てるような過ごし方が適していると思った。

実際に「高テラス」で過ごすと、地面から1Mの距離があるため遠くの景色に意識が向く。
同時に木々の葉との距離が近くなり、日常生活の中で無意識のうちに緑の中へ入っていくような感覚を覚える。庭もテラスFLと同じ高さに土を盛ることでフェンス代わりの土壁とし、より外との繋がりをもたせた。

気持ちを内に向けたい時は、高テラスに囲まれた内へ数段の階段を降りて戻れる。意識の切り替えを、無理することなく感覚的に自然な状態で居場所を選択できることは、暮らしの豊かさにつながると思う。
そのような意図で、今回この設計をした。

Location: Haibara, Shizuoka
Category: Residence
Structure: Wooden / Two-story
Site Area: 446㎡
Total Floor Area: 137㎡
Year: March 2019
Construction: Fun Collective Inc.
Photography: RACHI SHINYA

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