建築の魅力

2021.5.21 / blog

建築の面白さ
建築は人がつくるものだけど
自然界に存在する、例えば水の流れや炎のゆらぎ、木々の美しさ
みたいなものと同じように、現象や空間をつくることができるかもしれない。
そこは飽きずにずっと居られるようなとこで、心が安らぎ落ち着いて過ごすことができる。
虫や植物の小さな変化に気が付くこともあれば、
宇宙まで及ぶ壮大な循環の中に自分がいることを意識することもある。
そんな建築をつくりたい。

 

物事に対して理解や思想を深めていくのに
その一つのことにだけ掘り下げて学ぶより、様々なジャンルや角度から考えていった
方が深くなるということは良く言われることで
自分もそれをやっと実感として少し感じることができた。
 

物事を包括的に見ること。全体として捉えることが大事。
結局どの分野でも行きつくとこは同じで
そこに対してどのような乗り物で向かうかだけということか。
 

建築も食べ物で考えるとわかりやすいと思った。
 

ここ数年、妻のおかげもあって
何を食べるか、食べ物に対して意識が変わってきた。
何を食べるかということがどれだけ重要かということが
実感として少しづつ理解してきた。
自分が食べている物が自分を形成している。食べているものが自分の細胞となっている。
 

生物学者の福岡伸一が言っている、食べるという行為は自分自身を常に作り変えているという。
毎日出している排泄物は食べカスではなく、自分自身の壊れれた細胞が捨てられているということらしい。
 

食べ物を食べるってそれをガソリンのように燃焼してエネルギーにして、そのカスを排出しているイメージがあるが、
というより、食べている物が自分自身そのものということらしい。
 

生命とは何か?福岡伸一はそれを「動的平衡」と呼んでいる。
 

動的平衡とは「作ることより壊すことが優先、変わらない為に変わり続ける、分解と合成の絶え間ない均衡」
と福岡は定義している。
壊すことが優先で重要らしい、僕たちはつい作ることに精一杯で優先してしまう。
確かに風邪など体調が悪い時は、あまり食べ物をとらない方が調子が良くなるのが早い。
子供の頃はよく、食べないと元気がでないよ!と言われたものだが、実は消化にはすごく体力を使っているみたいだ。
これも作ることよりなくすことが先行で、そうすることにより次へとつながるということかもしれない。
 

ちょっと脱線してしまったけど、建築を食べ物で考えてみると、その空間にいるということは
その空間を食べている、吸っているとも言えるかもしれない
自分が育った空間、長く過ごしている空間の質自体がその人を形成しているともいえる。
 

そうなるとかなり大事になってくる。
食べ物や衣服のようにあまり一般的に意識されてこなかった分野だからわかりにくいけど
実はまったく同じである。
生まれてから、老いていくまでのとても長い時間を過ごす空間がどのような空間か
ということが、実はじわじわとその人の価値観や人間を形成していたと
考えることもできる。
そこには身体を伴い、暮らし自体がある。
機能性だけでは語れない、「美」「感覚」という価値観も大事になる。
 

住宅は寝るだけなんで安全に機能的で快適に過ごせればそれだけで良いと言われるかもしれないが
住宅こそそういう観点も大事だと思っている。
だってその人自体なんだから。
 

世の中の建築家は奇抜でただカッコいいものを作りたがっているわけではないというのはそうゆうことで、
今の社会があまりに違う思想や価値観で溢れている為、そういう本質に対して本気で考え、純粋にカタチにしていった
場合、時にそれはあまり見たことがない、奇抜でカタチだけを追い求めていると映ってしまうことがある。
 

勿論正解はないし、なかなか上手く言葉にできないことを、クライアントや作ってくれる職人さん達のおかげで
なんとか建築という体で現実の世界に解き放っている。
理解されるのが10年後かもしれないし50年後かもしれない
とにかく今考えれる最善がこれだ!という自信をもってやっていくしかない。